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高齢者の夜間頻尿対策|熟睡につながるケア方法

2024年8月4日

高齢者は1日に1,500ml程度の水分を摂取する必要があります。特に夏場や暖房を使う真冬は1,500ml以上摂らないと脱水状態となり、認知症の症状が悪化してしまいます。

しかし、高齢者本人や介護をしている家族の中には「トイレの回数が増える」「夜のトイレが心配」と考え、水分摂取を控えてしまう方もいます。

今回の記事では日中に水分をたくさん摂っても、夜間頻尿にならないケア方法をお伝えします。

高齢になると夜のトイレが増えるのはなぜ?

年を取ると夜に目が覚めてトイレに行くことが多くなる……と、わりとよく聞く話ではないでしょうか。それにはちゃんと理由があります。

血液の循環機能と排せつの関係

尿は腎臓で血液から作られます。
血液中には老廃物が多量に含まれており、それを排せつするため腎臓で尿を生成しているのです。

そのため、尿の生成と血液循環は密接に関係しています。
血液循環が悪いと腎臓に送られる血液量が減り、生成される尿量が減少してしまいます。

血液の循環機能は重力に影響される

人は心臓だけで全身に血液を循環させているのではなく、骨格筋も局所の血液を心臓に戻すポンプとして働いています。特に「第二の心臓」と言われる足の筋肉は重要で、重力に逆らって心臓に血液を届けています。

高齢になると筋肉がやせ、心臓も弱まることから、血液を「押し出す・吸い上げる」力が低下していきます。
さらに、日中は立ったり歩いたり、座ったりする姿勢でいることから、重力の影響で血液は下半身にたまりやすくなります(これが「むくみ」)。

夜のトイレが増える理由

夜間の就寝時は横になっているので、重力の影響を受けることなく血液が循環します。そのため、腎臓への血流量が増し、尿が多く生成され、尿量が増えていきます。

これが夜間頻尿の原因となります。

Memo

  • 尿量は腎臓を流れる血液の量に影響する(血液は必ず腎臓を経由する)
  • 日中は起きていることで重力の影響を受け、腎臓へ運ばれる血液量が減少する
  • 夜間は横になることで重力の影響が小さいため、腎臓への血液量が増加し、尿量も増える

結果、排尿回数は昼間は少なく、夜間に多くなってしまう

夜間のトイレを減らすケア

では、夜間のトイレ(尿量・排尿回数)を減らすには、どのようなケアをしていけばよいのでしょうか?

必要なケアは水分を摂ること

体から必要な水分が足りなくなると、意識がぼんやりし、活動性が低下していきます。椅子に座ったままうたた寝する時間が増えたり、動くのがおっくうになってきます。

日中の活動量が減ることで体は疲労せず、夜の睡眠も浅くなります。

  • 必要なケアは水分を摂らせること

水分を十分に摂ると脳への血流が良くなり、意識がしっかりしてきます。自然と活動量も上がり、疲労することで夜間の良眠につながります。

適度な運動を生活に取り入れる

日中に歩行や運動を積極的に行うことで、血液循環を活発にしていきます。腎臓への血流を増やすと、昼間のうちに老廃物を体外に排出することができるようになります。足の筋力も向上することで、血液を心臓に戻す力も強まります。
つまり、昼間の尿量を増やすことで、夜間の尿量を減らしていくのです。

歩いたり運動したりすることで意識がはっきりし、尿を我慢する、尿意を感じるなどの知覚も改善します。
認知力も向上するため、認知症の方にとっても良い影響をもたらします。

Memo

  • 必要量の水分を摂る
  • 歩く(散歩)などの運動を生活に取り入れる

日中の運動量を増やすことで血液循環が良くなり、昼間の尿量を増やし、夜間の頻尿を減らしていくことができます。

昼間と夜間のトイレ状況を記録してみる

夜間頻尿が気になる場合は、日中・夜間の排尿回数を記録してみましょう。

水分をしっかり摂り、昼間の活動量を上げることで改善が見られれば、理にかなったケアができていたことになります。
介護は「効果のあるケアができていたのかを確認」することはとても重要です。
なんとなく行うケアよりも、根拠のあるケアの方が長続きしますし、心身の負担も軽減することができます。

まとめ

高齢者本人にとっても介護者にとっても、夜間のトイレが2回以下であればグッと楽になります。
睡眠中の尿量が多いことでシーツまで汚れていた状況が、パッド交換のみで解決すれば介護負担はかなり軽減します。

夜間の頻尿を解消したいのであれば、日中に水分をたくさん摂り、活動的な生活を過ごせるようにしていきましょう。

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