便秘は認知症の方にとって「最大の敵!」と言っても過言ではありません。それほど便秘は認知症の症状に影響を及ぼし、日常生活に不安をもたらします。
この記事でわかること
- 脳と腸と認知症の関係がわかる
- 便秘が認知症に及ぼす影響を知ることができる
- 腸内細菌を整える食材がわかる
「脳腸相関」と認知症の関係
緊張すると腹痛を感じたり、便意をもよおすことがあります。逆に便秘が続くと気持ちが落ち込んだり、やる気が起きなくなったりします。
このように考えると「脳」と「腸」はお互い影響しあっているように思えます。
脳と腸のコミュニケーション
脳と腸は、複雑な神経回路を介してコミュニケーションを取っています。
脳が不安やストレスを感じると腹痛やおなかの張りを経験したことは誰しもあるのではないでしょうか。これは脳から腸への情報伝達が影響しています。同じように腸も脳に向けて感情、ストレス、食欲、免疫応答などに影響を与えていることがわかってきました。
このように脳と腸が密接に関係し、影響しあっていることを「脳腸相関」といいます。
認知症への影響
便秘は腸内環境の悪い状態で、「脳腸相関」から考えても認知症に悪影響を及ぼすことがわかります。
排せつされない便は大腸で水分を吸収され続け、硬くなっていきます。腹部が張り、体が重く感じて疲れやすく、気分も落ち込むことで意欲や活動性が低下します。
認知症であれば元気がなくなり、物事に対する拒否反応や横になりたがることが増えていきます。
出そうで出ないときは興奮状態になる
便秘で硬くなった便はなかなか排せつされません。直腸に便が留まると自律神経を刺激し続け、排せつがあるまで興奮状態が続きます。
イライラしたり、歩き回ったり、強い言動が出てきたりと、怒りが外に向かうことが多くなります。介護者はなだめようとしますが、認知症の人は自分自身でコントロールできない不快感に襲われているため、どうもできません。
このように認知症の人は便秘を起こさないように、腸内環境を整えていくことが大切になります。
便秘と認知症と腸内細菌
「脳腸相関」のカギとなるのが腸内細菌です。
腸内細菌のバランスが悪いと便秘を起こし、認知症の症状が悪化してしまいます。
腸内には約1,000種類、約100兆個の細菌が生息しており、重さにすると約1~1.5kgにもなると言われています。
注目はバクテロイデス菌(日和見菌)
約100兆の細菌はビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌と、大腸菌やウェルシュ菌などの悪玉菌、そしてバクテロイデス菌などの日和見菌に大きく分類されます。
日和見菌は善玉菌が優位になれば善玉菌として働きます。逆に悪玉菌が優位になれば悪玉菌として働き、有害物質を発生させます。
重要なのは日和見菌であるバクテロイデス菌で、認知症の人はこの菌が少ない傾向にあることが研究で明らかになってきました。そのため悪玉菌が優位となり、結果的に腸内環境が悪化し、認知症の症状に影響を及ぼします。
バクテロイデス菌を増やす3つのポイント
善玉菌を優位にして腸内バランスを整えれば、バクテロイデス菌が増えていきます。
便秘改善・予防のために、善玉菌を増やすポイントを知っておきましょう。
- ポイント1|食物繊維
腸内環境を整えるときに一番思い浮かぶのは食物繊維でしょう。
食物繊維は有害物質や悪玉菌を減少させ、善玉菌を増やしてくれます。
食物繊維が摂れる食材例
- 海藻(ワカメ、ヒジキなど)
- きくらげ
- 寒天
- 切り干し大根
- ライ麦・オートミール
- らっきょう
- オリゴ糖
オリゴ糖は商品として売られていますが、食材からも摂取できます。
善玉菌のエサとなるので、メニューに加えると良いでしょう。
オリゴ糖が摂れる食材例
- 牛乳
- はちみつ
- アスパラ
- 玉ねぎ
- 大豆
- バナナ
- 発酵食品
発酵食品に含まれる乳酸菌は、生きたまま腸に届きやすい特徴があります。
発酵食品の食材例
- キムチ
- ヨーグルト
- 味噌
- 納豆
- ぬか漬け
まとめ
腸は「第二の脳」と言われるほど重要な器官です。
認知症の場合、腸を健康に保つことが症状の悪化を防ぐヒントとなります。
日々スッキリとした排便ができるように、腸内細菌のバランスを整えて便秘にならないように注意しましょう。
それが認知症の症状を安定させるための最善の方法となります。