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高齢者の口呼吸は要注意|知っておきたい5つのデメリット

2024年9月28日

介護が必要になった親の口が、いつもポカンと開いて、口呼吸になっていないでしょうか?
口呼吸になると口腔内が乾燥し、歯周病や感染症を引き起こしやすくなります。
さらに認知機能の低下や顔の形にも影響をもたらします。

高齢だからこそ避けたい口呼吸、そのデメリットと自然に鼻呼吸になるためのトレーニングについて解説します。

この記事でわかること

  • 口呼吸のデメリット
  • 鼻呼吸の役割
  • 口呼吸から鼻呼吸になるためのトレーニング方法

口呼吸:5つのデメリット

口呼吸は高齢者にとって多くの健康リスクを引き起こす可能性があります。具体的には以下のようなデメリットが生じます。

デメリット1:感染症リスクが高まる

口呼吸になると口腔内が乾燥しやすくなり、唾液の抗菌作用が低下していきます。その結果、ウイルスや細菌が繁殖しやすくなり、感染症のリスクが高まるのです。

増殖した細菌が気管から肺に侵入すると肺炎を引き起こし、特に高齢者にとっては重篤な症状をもたらす可能性があります。

デメリット2:歯周病の進行と糖尿病への影響

口内が乾燥することで歯周病菌が増殖しやすくなります。歯肉も乾燥することで細菌にさらされやすくなり、炎症が進行します。

歯周病の進行は糖尿病にも影響を及ぼします。歯肉の炎症から炎症性物質が血流にのって全身に広がり、インスリンの効きが悪くなります。これにより血糖のコントロールが難しくなります。

デメリット3:睡眠の質が低下する

口呼吸は睡眠時無呼吸症候群やいびきの原因となり、睡眠の質が低下します。日中の疲労感や集中力の低下から活動性がなくなったり、ぼんやりしていることで転倒などの事故につながります。

デメリット4:認知機能を低下させる

口呼吸は脳の酸素供給に影響と与え、認知機能の低下を引き起こす可能性があります。これにより、記憶力や判断力が低下し、認知症のリスクが高まるといわれています。

デメリット5:顔の形や歯並びへの影響

口呼吸は顔の筋肉や骨格に影響を与え、歯並びが悪くなることがあります。顔の筋肉が弱ることで下がり、「顔のたるみ」「二重あご」「首が太く短く見える」など、見た目にも影響してきます。頬の筋肉も弱ることで、噛む・飲み込むなどの機能も低下してきます。

鼻呼吸の重要な役割

口呼吸と比べて、鼻呼吸にはどのような意味や役割があるのでしょうか。

鼻は加湿器、エアコン、空気清浄機の役割を果たしていると言われています。具体的には、鼻は吸い込んだ空気を加湿し、温め、そして浄化する機能を持っています。

加湿器としての役割

鼻水は1日に約1リットルも分泌され、その約70%が鼻を通る空気を加湿するために使われます。鼻水が空気に湿り気を与えることで、体内に入る空気の湿度は90%以上に保たれます。

しかし、口呼吸ではこれほどの湿度を確保できません。乾燥した空気は風邪やインフルエンザのリスクを高めるため、鼻呼吸は免疫機能において重要な役割を果たしています。

エアコンとしての役割

鼻呼吸をすることで、吸い込んだ空気は35~37度に温められます。一方、口呼吸では空気が十分に温められず、冷たいまま肺に届いてしまいます。

これにより、肺の免疫力が低下するリスクが高まり、肺にかかる負担も増えてしまいます。

空気清浄機としての役割

鼻は空気を浄化する役割も果たしています。まず、鼻毛がホコリなどの異物の侵入を防ぎます。さらに、鼻粘膜にある微細な線毛と粘液層が細菌やウイルスを捕らえます。

つまり、鼻を通った空気はこれらの異物が取り除かれ、まるで空気清浄機を通過したかのようにきれいになります。口呼吸になると異物が取り除かれず、感染症のリスクが高まります。

デメリットの多い口呼吸より鼻呼吸

吸い込んだ空気を加湿・温め・浄化する機能のある鼻呼吸は、健康維持にとって非常に重要です。
日常生活の中で鼻呼吸を習慣化することで、口呼吸によるデメリットを減らし、より健康的な生活を送ることができます。

では、なぜ口呼吸になるのでしょうか?その原因は舌の位置にあります。

口呼吸の原因は舌の位置

舌の位置がどこにあるかで、口呼吸か鼻呼吸かが変わってきます。舌は大きな筋肉の塊です。年齢とともに全身の筋力が落ちるように、舌の筋肉も鍛えなければ重力に負けて下がってきてしまいます。

舌の位置をチェックしてみよう

あなたの舌はどこにありますか?肩や顔の筋肉を脱力させ、舌がどの位置にあるかを確認してみましょう。

あるいは、介護が必要な親の口がポカンと開いていたら、そっと舌の位置をチェックしてみましょう。

  • 舌が上顎についている
  • 舌先が上の歯の裏についている
  • 舌先が下の歯の裏についている
  • 舌が何処にも触れておらず、宙に浮いている

舌の正しい位置は「1」になります。
「2~4」はいずれも舌が落ちており、舌の筋肉が衰えているかもしれません。

舌の正しい位置は上顎についていること

舌が正しい位置にあると自然と鼻呼吸になる

人が1日に吸う空気量はおよそ1万4000リットルで、呼吸数は2万回以上と言われています。これらの呼吸が口呼吸にならないように、舌の正しい位置がわかったら、意識してその位置に舌を置いて呼吸してみましょう。自然と口が閉じて鼻呼吸になります。

口呼吸から鼻呼吸になるエクササイズ

【あいうべ体操】
あいうべ体操は、口呼吸を鼻呼吸に改善するための簡単なエクササイズです。

「あ」で口を大きく開け、口の周囲と舌の根元の筋肉を鍛えます。
「い」で口を横に大きく開き、口周りから首にかけての筋肉を強化します。
「う」で口を強く前に突き出すことで、口を閉じるための口輪筋を鍛えます。
「べー」で舌を出し、思い切り下に3回伸ばすことで、舌そのものを鍛えます。

【舌回し運動】
舌回し運動は、顔や首の筋肉を鍛えるための簡単なエクササイズです。

  • 口を閉じる:唇を閉じたまま、舌を唇と歯の間に入れます。
  • 舌を回す:舌の先で歯茎をなぞるように、右上の奥歯から左上の奥歯、左下の奥歯から右下の奥歯へと移動させます。これを10秒程度かけて1周させます。
  • 逆回り:同じように、今度は逆回りで舌を回します。
  • 繰り返す:これを10回ずつ、1日3セット行います。

注意

※顎関節症の方は注意
両エクササイズともに、顎に負担が掛かる場合があるので、顎関節症の方は医師に相談してから行いましょう。

※無理をしない
痛みを感じたら無理をせず、回数を減らしましょう。

まとめ

高齢者の口呼吸はリスクが多く、認知症や糖尿病にも悪影響を及ぼします。
介護の必要な親が口呼吸だと気づいたら、「あいうべ体操」などのエクササイズを行い、鼻呼吸になるように働きかけてみましょう。

介護者自身も風邪をひきやすい、アレルギーが悪化している、睡眠が浅いなどの悩みがあれば、口呼吸になっていないかを確認してみましょう。

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