介護保険制度

ケアマネジャーはどこにいる?|仕事内容や依頼方法

2024年7月20日

これまで介護に関与することがなかった方は、ケアマネジャーが何をしてくれるのか、介護保険とどのような関係があるのか、疑問点が多いのではないでしょうか。

今回の記事では、介護保険サービスを利用する際に欠かせないケアマネジャーの仕事内容や依頼方法について解説していきます。

この記事でわかること

  • ケアマネジャーの保有資格
  • ケアマネジャーは何をしてくれるのか
  • ケアマネジャーへの依頼方法

ケアマネジャーはどんな人

ケアマネジャーの正式な呼び名は「介護支援専門員」で、これは2000年に施行された介護保険法に位置づけられた職種です。

ケアマネジャーの保有資格

ケアマネジャーとして業務に就くには「介護支援専門員」の資格取得が必要となります。

受験できる条件は介護福祉士、社会福祉士、医師、看護師、理学療法士などの国家資格を保有し、保険・医療・介護の分野で5年以上の実務経験がある人に限ります。

それぞれの資格を生かして実務経験を重ねた上でケアマネジャーの資格を取得しているので、前職により得意分野が違う場合があります。

ケアマネジャーの仕事内容

ケアマネジャーは、要介護・要支援認定を受けた方のケアマネジメントを行う役割があります。介護を必要とする方が自立した生活を可能な限り過ごせるように、サポートを行います。

Memo

ケアマネジメントとは、介護や支援を必要とする方やその家族に対して、生活状況や心身の状態を踏まえてニーズを把握し、個別のケアプランを策定し、適切な介護サービスを提供するための調整連携を行うことです。

ケアマネジメントのプロセス
①インテーク(面談・相談)
②アセスメント(課題の明確化)
③ケアプラン作成
④サービス調整
⑤サービス担当者会議
⑥モニタリング(把握・評価)
④

業務その1:ケアプラン作成を含めた介護の支援

利用者(介護を必要とする本人)や家族からの相談を受け、抱えている課題を分析した上で「ケアプラン」を作成します。
さらに、定期的に自宅を訪問し、病状や環境・介護体制に変化があるかどうかを確認し、必要であればケアプランの見直しを行います。

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ケアプランとは、利用者や家族の状況に応じて、具体的な支援方法や利用する介護サービスなどを位置付けた介護計画書のこと。

業務その2:介護サービスの提案・導入支援

利用者や家族の要望や、必要とされる介護サービスの情報を提供します。介護サービス以外にも、地域の情報介護保険以外のサービス紹介なども行います。

在宅で介護サービスを利用する際に、施設入所を希望する場合は、入所支援なども行うことがあります。

業務その3:介護サービス事業所との連絡・調整

介護サービスを利用する場合は、曜日や時間の調整を行い、利用者の注意すべき疾患や服用している薬などの情報を、正確に介護事業所へ伝える必要があります。

その他、自治体の高齢者向けサービスの利用支援や、要介護(要支援)認定の更新申請代行なども行います。

病院に入院することがあれば医療機関と連携し、退院後の介護体制も整えます。

業務その4:定期的なモニタリング

モニターリングは法令上、要介護1~5の方に対しては月に1回、要支援1・2の方に対しては3カ月に1回の頻度でお住まいの場所に訪問し、以下のような確認を行います。

  • 利用者のニーズに変化はないか、介護サービスに満足しているか
  • 他に必要なサービスはないか
  • 家族の介護体制や生活環境に変化はないか
  • ケアプランに定めた目標が達成できているか
  • 介護関係者と信頼関係を構築できているか

モニターリングから新たな課題が出てくれば、ケアプランの見直しや介護サービスなどの調整をし、解決できるように働きかけます。

モニタリングの指標は評価、満足度、目標の達成度、変化、要望など。

業務その5:給付管理などの事務業務

給付管理は、介護サービスの利用者の介護費用または支援費用を管理する業務です。具体的には、以下のような手順で行います。

  • 1か月単位で個々の利用者の介護保険サービスの利用予定を作成
  • サービス提供事業者との調整を行い、介護サービスが提供される
  • サービス提供後はケアマネジャーが実施内容を確認する
  • 給付管理票と請求書を作成し、国民健康保険団体連合会に提出する
  • 給付管理に関連する書類は整理して、5年間保存する
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ケアマネジャーへの依頼方法

要介護1~5の方は、自治体から指定を受けている「居宅介護支援事業所」へ、要支援1~2の方は地域包括支援センターのケアマネジャーに支援を依頼します。

基本的には利用する側が探す

公正中立な立場から、地域包括支援センターでは原則としてケアマネジャーを個別に紹介していません。市区町村の介護保険窓口や地域包括支援センターでリストをもらい、利用者側が探して連絡・依頼を行います。

リストだけでは決められない場合、地域包括支援センターで要望を伝え、条件に合う事業所を選べるように相談してみましょう。

ケアマネジャー選びのヒント
①専門性の高い介護知識がある
②親身に話を聞いてくれる
③納得できるまで説明してくれる
④説明が分かりやすい
⑤連絡が取りやすい
⑥信頼関係が築けそう

依頼は電話か直接訪問で

依頼したい居宅介護支援事業所が決まったら、電話か事業所へ直接出向いて、受けてもらえるかを確認します。
基本的に以下の場合でない限り、断られることはありません。

  • ケアマネジャーが担当できる件数が決まっており、余裕がない場合
  • サービスの提供範囲外の場合(提供地域は重要事項説明書に記載されています)

直接事業所に訪問した場合、ケアマネジャーが全員外出して不在の場合もあるので、ファーストコンタクトは電話がおすすめです。
電話で利用者の概要を聞き、支援が受けられる場合には、自宅へ直接訪問するための日程を決めることがほとんどです。

まとめ

ケアマネジャーの保有資格から業務内容、依頼方法までをお伝えしてきました。

ケアマネジャーの業務には利用者だけでなく、介護を行う家族の支援も位置づけられています。仕事と介護の両立をしているビジネスケアラーや、子育てと重なるダブルケアとなっている方など、介護に影響する悩みがあれば相談してみましょう。

介護は終わりが見えないため、長期間に及ぶと介護者のストレスや負担が大きくなり、精神的なトラブルを抱えやすくなります。
ケアマネジャーを長期介護の伴走者として頼ること、介護に関する相談は遠慮なく行うことをおすすめします。

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